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<うつ病とは> Y 対象喪失体験と自己愛 対象喪失体験により自己愛的な関係は破綻することになります。また逆に、自己愛的な関係の破綻は対象喪失体験になります。通常の対象喪失体験は外的な愛情対象の喪失によるものですが、外的な愛情対象の喪失はなくても結果的に内的な愛情対象の喪失をもたらすものこそが対象喪失体験なのです。後者の場合自己愛的な要素が大きく、うつ病前性格やその他のパーソナリティ病理の基礎に存在するものです。愛情対象が過度に自己愛的なものになっているのです。 愛情対象を失うときには、同時に自己部分も失うことになります。それは愛情対象の中に自己の一部分が投影同一化されているからです。ですから、この失われた自己部分に対する悲哀の仕事(ノスタルジア)も必要になるのです。 すでにおわかりかと思いますが、対象喪失体験の生じ易さや、その後の異常悲哀反応の起こり易さは必ず何らかのパーソナリティ病理を基礎に持っているものです。 人は、現実的な愛情対象の喪失もあれば自己愛的な対象の喪失も含めて、幼少期からのさまざまな対象喪失体験を体験します。幼い頃から体が小さく体力がないこと、母親の病気、幼少期の母親のコンテイニング機能が低いと、幼稚園や学校でいじめ、母親の病や、思春期の心身を巻き込んだ混乱、母親の介護の負担、会社での業務の過酷さと無理解な上司……といった出来事。こうした対象喪失体験に対して、身体疾患を懲罰として体験するという事態もあり得ます(迫害的罪悪感の形成)。これらの情緒体験は治療関係の中でも転移され再体験されていくのですが、転移体験の中では実際の体験とは異なって、対象喪失体験にともなう怒りや恨みといったそれまでは心の中に置き場所のなかった攻撃的な情緒が取り扱われていきます。そのことによって迫害的罪悪感を修正していくことができるのです。 |