|
|||||||||||
TOP | 施設概略 | 診療案内 | アクセス | 治療 | トピックス | リンク |
|
<うつ病とは> W 対象喪失体験 対象喪失体験とは愛情対象を現実に失ったり、自己愛的な傷つきから内的愛情対象を喪失することです。私たちの心のトラブルは、結局のところはこうした対象喪失に引きつづく悲哀の仕事の停滞や異常過程から起こってくると言えるでしょう。フロイトの初期の仕事であるヒステリー研究も、ヒステリーの人たちに伴う喪の過程でのヒステリー的な悲哀の仕事について解明したものであり、その後の喪失の恐怖症(不安ヒステリー)、強迫神経症、精神病、メランコリー、躁病、パラノイアの研究も同じ意義を持っています。 フロイトは、こういった神経症の発生を結実因子と素因、さらにその素因も幼児期の性的外傷体験と先天的な性的体質によって規定されているという二重の相補系列で説明しています。これを現代的な視点から解釈すると、まさに結実因子と幼児期の性的外傷体験はいずれも対象喪失体験のことであり、とくに後者は乳幼児期に抑うつ態勢を未完成なままに終わらせることになった事態のことを言っていると思われます。そして、先天的な性的体質とは口唇羨望のことを言っていると見なせます。 破壊的な口唇羨望はまことにリアルなものです。 口唇羨望は尿道・肛門的サディズムをも激化させ、性器性欲にも前性器的破壊性を混入させることになります。統合失調症の場合は、それがより具象的身体的で部分対象関係的な表現形を取ります。口唇羨望は心的発達を決定的に阻害するのです。神経症レベルの人に見られる口唇羨望と、今現在の対象喪失体験が過去の対象喪失体験を活性化することを私達は日常的に経験しています。そして、口唇羨望は、エディパルな競争心、嫉妬心をも激化させるのです。 |