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<精神分析入門> 11-3.精神病性転移 [英]psychotic transference 精神病者の病理的な対象関係が治療者との関係の中で再現される現象のことである。現象記述的には転移性精神病と呼ぶ。これは、強烈で、固執的で、表層的で、急激な進展性といった特徴を持つ。病者は抑うつ的な体験における、苦痛をもたらす現実認識、言語性思考や抑うつ不安感情をその苦痛ゆえに破壊せざるを得なくなる。つまり、精神病性転移の目的は羨望による、思考・情緒といった意味の連結を攻撃することにある。そのため、治療者の中に生じる逆転移としては激しい眠気、思考麻痺、自己解体感、迫害感などが特徴的に体験される。 神経症性転移の解釈は、病者が信じている誤った概念化の修正を目的とする。しかし、精神病性転移の解釈の目的は、明確で具体的な言語を用いた詳細で徹底した解釈により、未だ心的な内容となっていない具象思考(ベータ要素)を象徴化していくことにある。 精神病性転移の概念は人格の中の精神病部分、病理的な分裂機制と排泄性の投影同一化といった概念と共に、狭義の精神病のみならず人格障害や重症神経症の病態理解と治療にとっても最も重要な基本概念となる。 |